ワイヤードで見上げた星空は,幽世(かくりよ)の夜空に相似していた。
アスキーソリューションズ社は天体シミュレーションソフトの最新版「ステラナビゲータVer.6」を発売する。紀元前10万年前から西暦10万年までの星空を解説してくれる,プラネタリウム機能も搭載している。
実社会で星を見なくなって,どれほどが経っただろうか。もちろん,太陽も月も星だろと云われればその通りだけど,同系以外での話。だが,だ。地上が明るくて見えない星は,ないのではなく見えないだけだ。冬の夜空には雄大なオリオンと妙なる瞬きをみえるシリウスが輝くのを見られるが,冬の真昼には夏の大三角が存在する。街の灯りであれ,太陽の光であれ,ただ見えないだけだ。
ワイヤードの星空を見上げると,現世(うつしよ)の夜空とは違う,謎の夜空が広がっているかもしれない。さそりがプレアデスの煌めきに食い付き,獅子のデネボラが南の魚のフォーマルハウトと仲睦まじくしている。でもそれは,現実的ぢゃない光景ではない。どこにいてもいつでも,その星たちは天高くに存在する,という証なのだ。
|